妖精についてですね。

妖精というのはこの世界では、様々な物質の存在と活動、及び現象を司る存在だ。

基本的に肉体は持っておらず、 力やその質等、実に様々な妖精がこの世界で活動している。

今回のジルさんとか、童話とかで見るのと随分姿が違ってますね…。
人間の姿と殆ど変わらないみたいでしたけど。

童話は所詮空想だ、あまりアテにするな。

あと、妖精にとって”姿”なんてものは、俺達で言う”服”に近い概念なんだそうだ。
俺達の服だって、改まった場所では礼服。
野良仕事する時には作業着。
個々の嗜好で気に入った服だってある。
そんな具合だから、一人の妖精が複数の姿を持っているのが普通だ。

あ、何だか便利そう。

実際俺の妖精もそうだったろう?
巨人魔法使った俺と融合する時は、鋼の表皮を持つ姿になった他にも…
前回のレンの疾走形態では生の狼の姿だったし、今回のジルだって俺と話す上で人の姿を取ったな。

余談だが、こういう姿を変えられる特性がある上に、相性によっては妖精同士でも感知できない場合もある。
その為に未だに、妖精の個体数というのは把握できていない。
証言では、人間の何百倍から何億倍と居るらしいが…。

多っ!

しかもバラつき広すぎ!

相性の問題だ。

大体人間じゃ感知できんしな。

そういえば妖精にも、ランクがあるんですよね?

まぁ俺達の免許ほど細かく分かれてるワケじゃないが…
ある一定水準以上の力を持つ、極々一部妖精は、バートという位が付いて、○○バートと名乗れるようになる。

この水準になると、一人で地震や大嵐も起こせるほどになる。

そんな妖精を4体も連れてるじゃないですか…!

いちいち驚くな…

あとここから魔法に関連するからよく聞け。

あ、はい!

魔法というのは厳密には、自身の体内に蓄積したマナを変換して、”妖精が活動して起こす現象”を直接引き起こす構造になっている。

見方を変えれば、妖精に同じ現象を起こさせれば、魔術師は必要以上のマナを消耗する事はない
この考え方を基に形になったのが、妖精との契約だ。

そんなコトができるんですね…

まぁ実際はそんな都合よくは行かないんだがな…

基本的に契約した妖精は、術者と四六時中共に行動を共にすることになる。
実質的に術者の使い魔のような立場になるワケだ。

問題はここからで、まず契約する段階で妖精に、自分が主として相応しいと認めてもらわないとならない。
妖精にしてみれば、今まで自然界の法則の中で自由に暮らしてた所に、いきなり「今日から俺がお前の主だ」なんて言うワケだしな。

それは…理不尽というか、「何様だー」みたいに思いますね。

その上、術者の意のままに妖精に力を使わせるには、妖精に仮の肉体を提供する必要がある。
尤もマナさえあれば構築は妖精が勝手にやるワケだが…要するに肉体構築用のマナを提供しなければならない。

肉体構築に要するマナは、妖精の力の大きさや、起こす現象の規模に比例するから…。

バート級の妖精を4体も全力で呼ぶとなると、マナの消耗も半端じゃ…
って!ヴァンレクスの弱点…!?

大声で言うな…まぁ事実だ。
毎度毎度魔道融合してたら、マナがいくつあっても足りん。

とはいえヴァンレクスの力はある意味過ぎた力だ。
それは仕方のない事。

そうでなくともマナの扱いの上手い下手は魔術師の真価が問われる。
肝に銘じて使えよ。

は、はい!!